2010-07-25

スペイン無敵艦隊

ロンドン・スタンステッド空港でRyan Airに乗り込んで、目指すはマドリッド・バラハス空港。実家でお隣さんだった旧友のKengoが今はスペイン留学中と聞いていたので、せっかくイギリスに来たのだから是非訪ねたいと思ったのがきっかけだった。最後に近所で会ってから10年越しとなる次の再会がマドリッドというのは粋なもの。ちょうどフライトも格安航空会社のRyan Airならロンドン⇔マドリッドがなんと往復1万円。行くしかない!モチベーション的無敵艦隊で日の丸を掲げてスペインに突入し、バラハス空港で見事再会を果たした。


Kengoが市内を案内してくれたお蔭で、僅か2日間ながらも非常に充実したマドリッドの滞在。特に印象的だったのは、“飲んで食べてひたすら話す”というスペイン式の緩い時間の流れ方。街で人の動きを見ていると、バルを何軒もハシゴした上で最後には広場で立ち飲みが始まる。とにかく、おしゃべり大好き。週末に朝5時近くながらも広場で大量の人々が立ち飲み話をしていた光景は圧巻であった。実際にみんなが広場に集まって何を話をしているのかは分からないが、もし毎日世界中でこんなふうに“様々なビジネスアイデアについて”議論されたら、世界の変革は加速されるに違いない!無敵だ!

2010-07-22

Schumacher College in UK

今月のハイライトは、以前から予定していた2週間のイギリス滞在。“人と自然の潜在性を引き出す”社会モデル創造を目指す構想の中で、「人」の部分については10年近くの試行で現場感に基づいたプランができているだが、「自然」の部分についてはプランのイメージはあっても現場感をもっと深める必要があると思っていた。そんな折、イギリスで“自然と調和した社会モデルづくり”を町ぐるみで取り組んでいる事例があると耳にして、是非この目で確かめてみたいと考えた。それが、サウスデボン州のトットネス(Totnes)。環境分野では言わずと知れた「トランジション運動の発祥の地」である。

トランジション運動とは、「ピークオイルと気候変動という危機を受け、市民の創意と工夫および地域の資源を最大限に活用しながら脱石油型社会へ移行していくための草の根運動」。自分なりに平たく言い換えると、「今の大量生産・大量消費の社会って、やっぱりマズいよね。みんなでアイデアを出し合って、必要な分だけ必要なものを生産して消費するようにしてかない?」ということである。そう考えれば、できるだけ自然の恵みを活かしつつ、食糧・エネルギー分野を中心にライフスタイルを変えていこうというのが活動の骨子になると容易に理解できる。


このムーブメントは、イギリス人のロブ・ホプキンスが、2005年に小さな町トットネスで呼びかけを行って活動を始めたのが発端である。活動は多岐にわたるので一言では説明できないが、自分の初期的な分析からざっくりまとめると、地産地消の農的活動をベースとして展開されている。その際、植物本来の力を引き出すパーマカルチャーという農的理論が広く使われる。したがって、「地域の人がパーマカルチャーで食糧を作る→地域で売る→地域の人が買う→地域の人が家で食べる/地域のレストランで料理して出す」というフローを頭に入れると理解しやすい。

トットネスでの活動開始から僅か3年足らずの間に、イギリス全土は勿論のこと、欧州各国・北南米・オセアニアそして日本と世界中に広がっているトランジション運動。この原点を見たいと思ったのが今回の出張の経緯だが、親友のチャッドの薦めで、トットネス近郊のダーティントン(Dartington)にあるシューマッハー・カレッジ(Schumacher College)に滞在することにした。このカレッジは持続可能社会の創造を掲げて1991年に設立された国際的な教育機関で、1~3週間程度のショートコースを年に10~20回開講している。トットネスの動きを概観するのに最適なコースを見つけ、参加することにした。


自分が参加したのは新設コースの「Gaia's Garden」。フィールドワーク+ディスカッション形式で、トットネスのトランジション運動を現場訪問ベースで概観しながら、実際に「食糧を作る→料理する→食べる→片付ける」のサイクルも体験してしまうというインテンシブなプログラムだった。少数精鋭のコース規模で、参加者は、イギリス人/オランダ人/インド人そして日本人が自分一人。農的分野に造詣が深い方々ばかりのグループにジョインすることになったが、ワークを進めるプロセスで自然に溶け込んでいった。

正直なところ、チャッドからの薦めに直感して勢いとノリで来たため、カレッジの詳細は現地に来てから理解したのだが、実におもしろい。自分が茅ヶ崎で過ごした松下政経塾の寮生活時代を思い出させるようなスタイルで、生徒・講師・スタッフ全員が敷地内の宿舎に寝泊りし、朝は6時から瞑想部屋で座禅を組み、掃除・洗濯・料理も輪番制で担当する。朝礼まであるのには驚いた。「机上で得た知識や理論を超えて、共同生活をしながら実際の行動や経験から学ぶことを重要視している」というカレッジの理念が見事に具現化されていて、まさにサステイナビリティにフォーカスした松下政経塾と言っても過言ではない。


毎日が濃密な学びに満ちていて、トランジション活動のワーキング・グループのリーダーを招聘しての講義・ディスカッション、農園訪問、堆肥づくり、コンテナガーデンづくり、マッシュルームづくりなど、具体的な体験を通じて「自然と調和しながら生活するというのは一体どういうことなのか?」について多角的に感じることができた。普段、実家で親がやっている畑仕事を、まさか自分がイギリスで多国籍メンバーと一緒にやることになるとは思ってもみなかったが…。ともかくも、これまで机上でイメージしていたものを実際に体感して、自分なりに“自然を活かす社会モデルづくり”の姿の輪郭が浮かび上がってきた。

そして、体感的に学びを進める中で気づいたことがある。トットネスにいると、『トランジション』『パーマカルチャー』『サステイナビリティ』といった単語が頻繁に飛び交っているのだが、「待てよ…地域の中で必要な分だけ必要なものを生産して消費する…自然を敬って共生する…これって、我が国・日本がかつて生活の中に普通に取り入れていたことじゃないか!」と思い始めた。実際、トランジション運動を知れば知るほど、自分から見れば非常に日本の古き良き村社会的。もしくは、それをアップグレードした姿のように感じた。なるほど灯台下暗し。ある意味で逆輸入。これが一番の学びとなった。

2010-07-02

獨協大学講義『NPO論』


NPO法人キーパーソン21の経営戦略担当理事として、獨協大学の全学総合講座『NPO論』の講義を担当させて頂いた。今日のテーマは、「キャリア教育事業の実践を通じたNPO活動の実態』。早いもので、NPO論の講義を担当させて頂くようになって3年目となるが、毎学期、このような形で学生のみなさんにNPOの現場の話を共有させて頂いている。1年生を中心に300名超の受講者のみなさんを対象として大教室で90分の講義をもつわけだが、僕がいつも挑戦しているのがインタラクティブなワークショップ・タイムの導入。というのも、一方的に話を聞いていても面白くないので、できるだけ体感的に学びが残るようにしたいと思っているのである。そこで、キャリア教育の現場をイメージしてもらうため、普段は中学校の教室で30人程度の生徒を対象に実施しているキャリア教育ワークショップを300名超の学生のみなさんの前で実演した。

今回、僕がデモ的に実演したワークショップは、『すきなものビンゴ&お仕事マップ』。ゲームを通じて、自分のすきなものを洗い出し、その中の一つをキーワードにして、それに関連する職業や仕事などを連想していくものである。例えば、自分のすきなものとして「サッカー」というキーワードが出た場合、サッカーに関連する職業や仕事をどんどん紙に書き出していく。中学生に「サッカーに関連する職業や仕事は何ですか?」と尋ねると、「選手」「監督」「コーチ」以上というのが通例である。しかし、適切なファシリテーションをしていくと、「スポーツカメラマン」「ユニフォームを作る人」「オーナー」「本を書く人」など色々な連想が出てくる。このプロセスを大学生のみなさんにも体感して頂くのである。すると、だんだんキャリア教育というNPO活動が何たるかがイメージできてくる。こうした現場感の想起こそ、NPOとは何なのかを考える導入として大切だと思うのである。

すると、今度はそもそもNPOって何だ?ということを知りたくなる。ここで、現場感覚をもって、きちんと論理的に分かりやすく説明を加えることが非常に大切だと思う。僕自身、かつて学生のときにNPOというものには興味を覚えるけれどもいまいち良く分からず、大学の講義で教授の話を聞いてはみるものの、どうも煙を巻かれた感を拭いきれない状況であった。結局、研究者は薀蓄を解説しているだけで、端的に本質を語れていないのだと思う。だからこそ、僕は、実践者としての経験を踏まえながら、自分が当時知りたかったことを少しでも学生のみなさんにお伝えしたいのである。営利-非営利という分類の不自然さ、NPO=ボランティア団体と曲解されている所以など、素朴な疑問に対する明快な答えをきちんと出すべきだと思う。とは言えども、僕自身も試行錯誤しながらの講義展開ゆえ、引き続き、精進したいと思う次第である。