2011-07-24

大盛況☆道のカフェ@陸前高田


土曜早朝に仙台からバスに乗って陸前高田へ。プロジェクト設計で参画している復興支援プロジェクト「道のカフェ」が本格的な始動を迎え、7/23, 24と二日間にわたって行われた「道のカフェ@陸前高田」は地域の皆様で賑わう大盛況となった。このプロジェクトは、スターバックス × キヤノン × 松下政経塾の連携によって発起され、東北で震災後の生活を送られている皆様がオープンスペースのカフェでリフレッシュしながら対話できる場を創出する取組。さらに、地域の皆様の姿を写真に収め、東北が復興に向かう姿を全国に向けて継続的に発信する。そのため、松下政経塾のネットワークを通じて地域コミュニティの結節点となり得る場を抽出し、そこへ移動店舗型車輌のスターバックス号が出動してカフェ空間を創出、キヤノンの写真印刷技術がコンテンツ展開を支援するという形を基本スタイルとする。ただ、プロジェクトの担い手そのものも地域の方々に主体となって頂くことを強く意識しており、今回も陸前高田で活動するNPOみんつなの皆様やコミュニティリーダーの皆様との協働作業で実現された。

初日は陸前高田市の米崎中学校、2日目は高田第一中学校の敷地内で開催された。スターバックス号の周りにオープンスペースのセッティングを始めると、地域のみなさんが率先して机や椅子の準備に協力して下さり、「エプロンをつけて一緒に準備しましょう」ということになった。いつの間にかスタッフも地域のみなさんもスターバックスの緑のエプロンを着用しており、全員参加型のハンドメイド式カフェへ。ふと顔を上げて周りを見渡すと、高齢のおじいさんやおばあさんまでエプロンを付けて一緒に作業している…。そんな光景に何か心温まるものを感じずにはいられなかった。いよいよオープン。「ショートラテ♪」この地でスターバックスの“いつもの”オーダーが聞こえ、ワクワクする。当初、実際に地域のみなさんがオープンスペースの椅子に腰掛けてのんびりしていって下さるだろうかとの懸念もあったが、そんな不安はどこ吹く風。「スタバが来たよ」「スタンバ来たか」と初めてスターバックスを目にする方々も駆けつけ、老若男女が溢れて椅子が全て埋まってしまう満員御礼となっていた。


実は、これにはちょっとしたアイデアがあった。3名のプロカメラマンが地域のみなさんの笑顔をカメラに収め、その場でキヤノンさんが美しい写真に仕上げてプレゼントする企画が大人気だったのである。撮影プロと印刷プロのコラボレーションによって仕上がった写真を見て、地域のみなさんから次々と歓喜の声が上がった。「こんなに奇麗に撮ってもらったのは初めて」「写真が殆ど流されてしまったからすごく嬉しい」「もう1枚印刷してもらえませんか」などなど。子どもたちはキヤノンさんの前に張り付いて写真が出力される様子をまじまじと見つめ、それぞれのテーブルでは写真を見ながらまた新たな会話が生まれていった。今回、撮影して下さったのは、佐藤慧さん安田菜津紀さん渋谷敦志さん。佐藤さん、安田さんとは、僕がTEDxYouthでキュレーターを務めさせて頂いたときに出会い、お人柄に惹かれていつか一緒に活動したいとずっと思っていた。プロジェクトのコンセプト設計段階で真っ先に閃いてお願いをさせて頂き、今回実現することになったのは格別に嬉しい。

また、カフェには様々な広がりが生まれるという大きな魅力がある。道のカフェでは写真企画に加えて、日本プライマリ・ケア連合学会の医師・看護士のみなさんによる血圧測定コーナーや管理栄養士さんによる栄養相談コーナーも併設された。コーヒーを飲んだついでに血圧測定や栄養相談も。2日目には地元の有志の方々に陸前高田名物の太鼓の練習をカフェの横で披露して頂くなど、オープンスペースが次々と進化していった。僕自身もカフェに来て頂いた地域のみなさんの声を聞いてみると実に様々。「こんなふうに外で席に座って人がコーヒー飲んでいる姿は震災後に初めて見た」「今日撮ってもらった写真は一生記念になるわ」「フラペチーノってこんなにおいしいのね」…このように様々な人々の様々な体験が息づく場所こそ、オープンスペースのカフェの魅力なのである。ここから地域の様々な声を集めて街づくりに発展させていくことができれば…。プロジェクトのコンセプト設計で参画させて頂いている自分としては、そんな想いも込めて『道のカフェ』というネーミングをした経緯もある。


あっという間の2日間を終え、道のカフェは全体的に気もちのよい滑り出しとなったと思う。何よりも、地域の皆様にとって多少なりとも有意義な時間となったならば嬉しい。プロジェクトとしては改めて今回の取組を振り返り、次なる道へとつなげたい。道のカフェのフォーカスは、一過性のイベントではなく、避難所や仮設住宅という生活環境によって変化したコミュニティを再構築したいと考えていらっしゃる地域の皆様へのきっかけづくりにある。その意味においては、緩やかな頻度での開催ながらも、地域の皆様との恊働作業によって外部参画がお役に立てる余地はありそうだとの実感は確かにあった。地域プラットフォームとしてのカフェを想定しつつ、次なる設計に入りたい。また、個人的には、日頃、地域再生プロジェクトをプロデュースする際の知見を有効に活かし得る感触を得た。都市/農村設計においては、ハード面やソフト面それぞれのアプローチはあっても、両面をカバーした全体マネジメントとなると一気に人材が手薄となる。そこに地域経営の専門性は活きる可能性があるかもしれない。そして、道は続く。

2011-07-18

進化する岐阜の農村集落イトシロ


Booz&Companyチームの3人で岐阜県郡上市の石徹白(いとしろ)に足を運ぶと、夏の日差しを浴びて緑が美しく映えるトウモロコシ畑の景観が目に飛び込んできた。農村の風情に赴深さを添えるヒグラシの協奏曲も耳に心地よい。岐阜市内から走らせてきた車で峠を上って集落に辿り着いた僕たちは、ここ石徹白で活躍する平野彰秀さん&馨生里さんを訪ねて地域の近況を伺った。Boozチームが石徹白のみなさんとのご縁を頂いた経緯は過去の記事にまとめている通りだが、2009年にファーム内で立ち上げたプロボノ第一弾の山村地域再生プロジェクトで3ヶ月にわたる地域づくり支援をさせて頂いたことによる。その最大のきっかけを生み出して頂いた平野さんに石徹白の最新動向を伺い、深夜まで続くエキサイティングな談話とともに民宿の居間がスーパードライの空き缶で埋め尽くされていった。

エクストリーム談義もさることながら、僕たちが最も楽しみにしていたことの一つが石徹白の農村カフェレストラン「くくりひめカフェ」。1年半前のスタートアップにご一緒させて頂いて以来、カフェを運営する石徹白の女性チームのみなさんが次々と生み出す創意工夫に感銘を受け続けている僕たちは、自分たちにできる形で応援したいとの想いで今に至っている。滞在2日目、昼にカフェへと足を運ぶと目に入ってきたのがニューアイテム。“くくりひめカフェ”と綴られた可愛らしいノボリが立っているではないか。ランチも石徹白の食材をバランス良く取り入れる形でバージョンアップしており、明らかに洗練されている。今、大ブレイクしているのがアマゴの一夜干し。旨い。一品ずつにストーリーがあり、くくりひめのみなさんから直々にメニュー紹介を頂くと、いっそう美味しく感じられる。トマトとチーズを組み合わせたデザートにも思わず舌を巻いた。


ランチも落ち着いた頃、くくりひめのみなさんから近況を伺うと、メンバーも増えて益々パワーアップしている様子。勿論、運営していく上で直面する課題もあるものの、みなさんの創意工夫で前進している様子が強く伝わってきた。集落のみなさんにも支えられ、少しずつ売上も好調へ。カフェの売上で得た収益から、厨房には特大冷蔵庫とオーブンレンジが新調されていた。同時に、手作りの棚が設置されていたことが見逃せない。くくりひめスタッフの手で網棚を作ろうと試行錯誤していたときに、石徹白小学校の校長先生が技術の先生であったことが発覚し、見事に棚を作り上げてくれたとのこと。自分たちで持ち寄れるものは持ち寄ってカフェを作る。「みんなで、楽しく、できることから始める」が基本指針なのである。そのような小さな積み重ねが集落に伝わり、お客さんに伝わり、次々と地域ファンを生み出すサイクルに繋がっている。

さらに、くくりひめカフェとシナジー効果を生み出している石徹白ツーリズムの果たす役割も極めて大きい。いとしろ青空学校という体験プログラムが定期的に開催されており、プログラムに合わせてカフェにランチのオーダーが入る。石徹白を訪れた方々は地域の旬の食材を取り入れたランチを堪能するとともに、くくりひめのみなさんとの対話を通じて地域への理解が深められるのである。加えて、今、全国的に石徹白への注目を集めつつあるのが集落内に設置された小水力発電。白山の麓という立地から水の豊富な地域特性を活かした自然エネルギーの導入が平野さんを中心に進められており、震災後のエネルギーのあり方への関心の高まりも相まって各地から視察が相次いでいるという。この視察の際にもくくりひめカフェのランチが用意され、地域を感じて頂く機会となっているのである。


この週末は青空学校の薬草体験&白山中居神社の創業祭が重なり、僕たちも現場の今を改めて体感することができた。また、小水力発電も案内頂いて、地域における自立的なエネルギー供給について考察することができたことも意義深い。そして、何より嬉しかったニュースは、諸々の取組による地域の魅力発信を通じて、石徹白へ2世帯の移住が決定したという事実。1年半前にチームメンバー全員で定住人口の増加を実現するメカニズムを徹底的に分析した上で実践的な地域再生ロードマップを作り上げたのだが、策定したイメージに限りなく近い状況が現実のものとなってきている。僕たちとしては、「石徹白のみなさんを引き続き応援させて頂くとともに、日本全国で地域再生を模索する方々へのノウハウ共有にも発展させたい」と、サユールイトシロの稲倉さんに頂いた逸品のズッキーニを携えながら帰路についた。

いとしろき こともなき世を いとしろく @平野さん邸

2011-07-14

陸前高田で「道のカフェ」開きます。


東日本大震災から早くも5ヶ月目に突入し、季節はすっかり夏となった。3月には復興支援への短期的施策として救援物資プロジェクトに参画していたが、物資のロジが復旧した4月下旬あたりからは、より本質的な復興支援として中長期的施策への展開を模索していた。その矢先に、公益財団法人松下政経塾から、地域の方々が対話を通じて復興への道を切り拓くコミュニティづくりを支援したいという話を頂いた。オープンスペースの地域コミュニティづくりは自身の専門分野であるということから、幸いにもプロジェクトに抜擢頂いた次第である。コンセプト設計の任を担わせて頂き、この度、公益財団法人松下政経塾 × スターバックス × キヤノンの連携で「道のカフェ」を実施することになった。

命名から想起される通り、人々が集まる“道の駅”の如く、東北にオープンスペースの特設カフェとなる“道のカフェ”を創出し、様々な立場の皆様が対話しながら復興への道を切り拓くコミュニティづくりを支援する取組である。最初は仮設式のオープンスペースとなるが、地元の市民組織の方々と連携しながら地域に根ざした場づくりに展開されるよう継続的に開催していくプロジェクト設計となっている。さらに、カフェに集う現地の皆様の笑顔を写真に収め、スターバックスさんの店舗を通じて日本全国に東北の姿を発信することで、持続的な復興支援への呼びかけを目指すことも大きな特徴である。この「道のカフェ」初回開催が確定し、7/23(土)および7/24(日)の二日間にわたって岩手県陸前高田市で実施する。

既に現地には関係者ルートで告知を進めているが、陸前高田市で震災後の生活を送られている皆様にご案内させて頂き、多くの方々に「道のカフェ」にお越し頂きたいと考えている。そこで、周りに陸前高田市にお住まいの方々がいらっしゃる場合には、是非、下記内容をお伝え頂きたい。告知サイトも合わせて参照されたい。
◆復興支援プロジェクト「道のカフェ」@陸前高田
1) 7/23(土)14:30-16:00 米崎中学校 駐車場
2) 7/24(日)11:00-15:00 高田第一中学校 駐車場
企画・運営:スターバックス、キヤノン 企画協力:公益財団法人松下政経塾
詳細:告知ウェブサイト 告知チラシ:PDF版

ここまでプロジェクトを練り込んだら、あとはやってみなければ始まらない。至らぬ点があることは承知の上、当日は自分も現地で汗を流させて頂く予定である。「道のカフェ」の命名も、そのようなスピリットを内包している。プロジェクトの話を頂いた夜にシャワーを浴びながら閃いたもので、松下幸之助塾主の『道をひらく』、人々が集まる『道の駅』、我々が目指す『復興への道』… これは復興への道を切り拓く道のカフェだ!とインスピレーションを得た。明け方までに一気にプロジェクト企画書を仕上げ、自身も道を切り拓く一助となればと思ってここまで来た。松下政経塾による綿密なアレンジメント、スターバックスさんのさりげなく大きな度量、キヤノンさんの精巧な技術。今、道が一つになる。

2011-07-08

白熱教室型のキャリア教育論


非営利組織経営論や非営利教育論をテーマに招聘講師として大学で教鞭を執らせて頂いて早くも4年目となる。今日の午後は、獨協大学にて全学総合講座『NPO論』の講義を担当させて頂き、キャリア教育を中心とする非営利教育論にフォーカスした。広い大教室に参集頂いたのは、学部1年生を中心とする様々な学部の学生200名強のみなさん。なぜ僕自身がキャリア教育に着目して、NPO法人キーパーソン21でキャリア教育プログラムの体系化に参画したのかを率直に共有した上で、実演も交えて講義を展開した。

半分は講義形式だが、もう半分は大教室まるごと巻き込み型のワークショップ形式。言うなれば、白熱教室に少々エンタメ性を加えたようなテイストで進行している。普段は小中学校で30人程度のクラスを対象に90分かけて行うワークショップのエッセンスを抽出して、200人強の大学生を対象に30分程度で行う特別編を展開。ゲーム感覚で自分のすきなものを洗い出し、そのキーワードから関連する仕事や職業を連想していく。大教室ながらも非常に一体感のあるワークショップに仕上がった。


実は、このプログラムの原点は、僕の高校時代の経験にある。高校は自由な校風で非常に楽しかった一方、自分を見つめる機会が希薄なまま受験勉強モードに入っていく環境に強い違和感を覚えていた。これでは人の持ち味が活かされる活路が拓かれない。世間体や知名度に紛らわされることなく、もっと一人一人のワクワク感にフォーカスして進路が切り拓かれる機会をつくりたい。そんな想いから、こういう授業があったらいいのに…と思う構想をまとめていたのである。このときから、授業のあり方を考えるようになった。

大学時代に授業シナリオを自分のノートに書き下ろし、最初に生まれた原案がワクワク感を言語化するゲーム式授業。高校時代にアガリと呼ばれる飲み会で頻発していた山手線ゲームの原理を応用した。お題に沿って順番に発言せざるを得ないゲームで、きちんと発言できないと飲まされる。僕は、ゲーム感覚で半ば強制的に発言せざるを得ない空気感を自然に作るという深淵なる原理に着目し、自分のすきなものをブレスト的に吐き出す授業を着想した。この手のゲームを考えるのは大の得意分野で、次々と原案がまとまった。

これを事業化して社会に提案したいと考えていた松下政経塾時代に出会ったのが、NPO法人キーパーソン21である。当時、小中学校とのネットワークを築いて講演コーディネートをしていた活動に興味をもって訪ねたときに、まさに教材開発をしたいという状況を伺った。一方、自分はワークショップ原案は既にあるが、学校とのネットワークがない。そんな偶然に意気投合して、キャリア教育プログラムの体系化を一気に進めることになった。僕が高校時代に着想した原案が形となり、現在も多方面で活用頂いているのは非常に感慨深い。

このような経緯も紹介しつつ、今日の講義では、ワクワク感を基点としたキャリア設計という考え方を共有させて頂いた。ただ、これも数多ある価値観の中の一つであるという相対感も合わせて指摘。それを踏まえつつも、やっぱり自分のワクワク感をベースに活動していきたいと願う方々には、キャリア教育プログラムがお役に立つこともできるかもしれない。そして、今ではプログラム実施の中核を大学生チームが担っていることも強く紹介させて頂いた。講義後には何人かインターン希望の申し出を頂き、嬉しいひとときとなった。