2011-12-25

中尊寺のメリークリスマス


朝、目覚めて窓を開けると、一面が銀世界とはこのことか。岩手県一関市の山奥に一晩で数十センチ積もった雪の上で歩くリズムに合わせて、新雪を踏み込む柔らかい音がする。そう言えば、冬の東北を訪ねるのは初めてだった。寒いのは極度に苦手だが、ヒートテックを重ね着してダウンジャケットを着ていれば、冬景色を楽しむのも意外にいける。そうだ。平泉へ行こう。今年は何度も一関まで足を運んでいながら、まだ一度も平泉の世界遺産を拝んでいない。雪に埋もれたレンタカーを動かして、カーナビの目的地を平泉の中尊寺に設定した。

想定していたよりも観光客は少なく、適度な静けさが絶妙に心地よい。中尊寺の表参道たる月見坂を上りながら、樹齢300年超の杉の並木道に積もる雪を愛でる。中尊寺というと金色堂のイメージが先行していたが、参道沿いの様々な御堂が実に味わい深い。中尊寺本堂をはじめ、不動堂・阿弥陀堂・弁財天堂など、見事な佇まいを湛える御堂が立ち並ぶ。寺は、何故かくも人の心を落ち着かせるのだろうか。春は夜桜、夏には星、秋に満月、冬には雪。それで十分、茶はうまい。中尊寺のメリークリスマス。

 

2011-12-24

気仙沼・陸前高田・大船渡の被災現場調査


一関で雪道走行用4WDのレンタカーを確保して、気仙沼陸前高田大船渡へ。これまで何度も被災地の現場を訪ねてきたが、震災から9ヶ月経った現場を自分のペースで改めて理解したいと考えて沿岸部の実地調査を決行した。雪の舞い散る山道を駆け抜けて気仙沼に到着した後、被害の大きかった沿岸部に入り込んで隈無く視察していくと、改めて地盤沈下のインパクトを肌で感じずにはいられない。海辺での1m弱の地盤沈下の結果として、海水が音を立てて流れ込む敷地や水没した舗道が随所に目立つ。こうした地区は“盛土嵩上げ”される計画ではあるものの、実際に現場を見ていると、ここに盛土した上に施設や住宅を建てて本当に大丈夫なのだろうかとの素朴な懸念が沸き起こるのも事実。生きた地面と如何に折り合いをつけて生きていくのかという問いを意識せずにはいられなかった。


車の進路を北に向けて陸前高田大船渡へ。ここでも地盤沈下後の土地再生は大きな課題。沿岸部は高く積まれた土嚢が目立ち、海面が高いのか?それとも地面が低いのか?と不思議な感覚に襲われる。各地で盛土嵩上げの工事が進められているのだが、ここにどのような生活空間を形成していくのかについて考えると幾つかの大きな論点が見えてくる。一つは、自然との共生という大前提における防災・減災の生活空間形成。もう一つは、少子高齢・人口減少時代に応じた生活空間形成。これらの論点に正面から向き合いながら復興まちづくり計画を詳細化して合意形成を得るプロセスは容易ではない。しかし、復旧の延長線上で進めてしまえば無機質な町が再現される公算が高い。それならば、何かできるアクションをとってみたい。批評家はいらない。為すか、為さぬか。Just do it!!

2011-12-23

気仙沼の住民対話集会に聞くリアルな声


東京大学のチーム8名(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻)で宮城県気仙沼市入り。復興まちづくり支援として我々が11月より進めてきた「国の復興交付金の活用モデル」の検討について、年明けのプレゼンテーションに向けた摺り合わせのための現地入りである。現在、気仙沼では市が策定した復興計画を住民に説明する住民対話集会が開催されており、市との摺り合わせに先立って我々は集会を傍聴した。200名程度の参加を想定していた市民会館に参集したのは400名超の住民。市長と市役所職員から概要説明が終わると、質疑応答では住民からの具体的な質問が飛び交う。「結局、自分の土地はいくらで買い取ってもらえるのか?」「防災集団移転したいと個人では思っていても、既に自治会が空中分解している状況でどうすればいいのか?」など、住民のみなさんの現実的な懸念事項が重く伝わってきた。市としても、国・県・市民の間で交錯する様々な議論をまとめるのに必死だ。


集会直後、我々は気仙沼市役所の企画政策課・都市計画課・住宅課とディスカッション。年明けに我々から共有させて頂く「国の復興交付金の活用モデル」に関する提案内容について摺り合わせを行った。国の東日本大震災復興交付金は基幹事業と効果促進事業から構成され、前者が5省40事業としてハード事業にフォーカスするのに対して、後者は資金の使途自由度の高さを担保しながらハード・ソフト両事業を幅広く対象とする。これらを如何に効果的に活用できる否かによって、復興のスピード・規模・方向性に大きな変化が生まれる。そこで、市の復興計画を推進するために国の復興交付金を効果的に活用する事業モデルを検討した上、実行手段として運営組織や条例制定までを想定した設計を行うのが我々の取組。この領域については、外部の知見が役立つ余地も大きい。住民対話集会で強く伝わってきた市民の方々の痛烈な想いに少しでも寄与でればと想いを新たにした。

2011-12-21

J-WAVE@六本木ヒルズ



J-WAVEでオンエアするスポットCM(au "LISMO WAVE")ナレーションの収録で六本木ヒルズへ。東京の夜景が見渡せる33Fのフロアには、クリエイティブな空気感が漂う。やはり他局とは立っているステージが違う。2010年まで六本木ヒルズ27FのBoozオフィスで戦略コンサルティングプロジェクトに従事していた自分としては、同じビルの異なるフロアでこのクリエイティブな時間が流れていたことを改めて意識して何か不思議な感覚。この世界ではパラレルに物事が進行している。そんな思索を巡らせながらスタジオ入りして収録した。

自分にとってJ-WAVEは良縁的な存在で、最初の出会いは19歳。上京して聴き始め、奇遇な繋がりから大学2年のときにはWebデザイナーとしてJ-WAVEの番組サイトの制作を担当していた。その番組がロバート・ハリスさんの『SENSE&EMOTION』で、スタジオでハリスさんに会って多くの刺激を受けた。プロの世界に影響を受けながら大学のサークルでラジオ番組制作にのめり込み、J-WAVE系列の名古屋ZIP-FMのDJコンテストに勢いでエントリー、3次の審査を経てシルバーグランプリを受賞した20歳が転機となった。

直後、お声かけを頂いたDJ事務所に所属してDJ/MC/ナレーターと声による表現活動を開始。思い起こすだけでも実にエキサイティングな経験の連続で、表現活動の追求は今もなお日に日に新しい。一方、メディア業界ならではの権謀術数も多々経験し、油断をすれば巧みに人を貶めてくるフォースの暗黒面の存在とも闘わなければならない。その中でも自分をドライブさせる唯一の拠り所は、人にポジティブな想いを届けたいという信念のみ。久しぶりにJ-WAVEとの接点をもち、原点に回帰するきっかけを得て良い流れを感じた。

2011-12-17

道のカフェ@陸前高田:新たなる展望


3.11から9ヶ月が経ち、気がつけば季節は冬。初夏に立ち上げた復興支援プロジェクト「道のカフェ」は、寒い冬も被災地のみなさんと一緒に復興への道を歩みたいとの想いから、夏・秋に続いて冬の開催も実現するに至った。「道のカフェ」は、被災地にオープンスペースのカフェ空間を創出し、地域の皆様がコーヒーを飲みながら対話をする場を生み出すことで、地域コミュニティの再構築を支援する取組。松下政経塾の地域ネットワークでフィールドを設計し、スターバックスがカフェ空間を生み出し、キヤノンの写真技術で被災地の皆様の姿を全国に発信する連携プレー。6月に有志数名でブレストした夕食から帰宅後、自然と自分の頭の中に浮かんできたイメージから「道のカフェ」と名付け、そのまま明け方までかけて一気にプロジェクト企画書を仕上げた。縁が縁を呼んで垂直立ち上がりの実現に漕ぎ着け、以来、自分は全体プロジェクト設計・運営を共同で務めながら現在に至る。



この「道のカフェ」は、単なる一過性のイベントではなく、カフェの開催前と開催後のプロセスを伴う中長期の取組であることに大きな特徴がある。これは、地域のみなさんとプロジェクトのスタッフが恊働で創り上げるカフェという設計による。開催に当たっては、地域のみなさんが仮設住宅を一軒ずつ回って声かけしながら住宅内の状況を把握するとともに、プロジェクトのスタッフと綿密に連絡を取り合うなかで地域外との絆を深める。カフェ開催当日には一緒にお店を創り出し、恊働の成功体験によって一層お互いの絆が深められる。カフェ開催後には、足を運んでくれた方々に御礼を伝えて回るなかで新たな会話が生まれ、地域のみなさんと参加スタッフの間では自然発生的に個別の対話が生まれていく。こうして人と人とのつながりが生み出されていく場こそ、今後の復興まちづくりを切り拓く重要なプラットフォームになるのではないかと自分は強く思っている。



一方、プロジェクト企画運営側の我々にとっての課題は、持続可能なプロジェクトモデルへのシフトであった。というのも、夏と秋の開催では、スターバックスさんのご厚意で移動店舗型車輌のスターバックス号を稼働して頂き、全国各地からエース級のパートナーのみなさんに毎回20名近く参集頂いて実現していた。これは一つのスタイルとして大いに意義深いのだが、同時にコストも大きい。そこで、今回の冬開催に当たってスターバックスさんが新たにオペレーション設計して下さったのは、スターバックス号を使わずに簡易器材だけでカフェ空間を作るという、6人体制のミニチュア型「道のカフェ」だった。地域のみなさんにもオペレーションに深くコミットして頂く形となり、仮設住宅にお住まいのお母さん・お婆さん・お子さんまでもが大活躍。陸前高田市の米崎小学校&中学校の仮設住宅敷地内にて、見事にミニチュア型「道のカフェ」が実現された。



実際、現場では非常に面白い展開となった。最初、設営直後にプロジェクトスタッフから地域スタッフのみなさんにオペレーションを説明すると、横文字の並ぶ単語のオンパレードにお婆さん方は「ちんぷんかんぷん」な表情を浮かべていた。そこで方針転換。オーダーを受けるドリンクは3種類のみで、オペレーション上の記号も「A, B, C」。説明は簡単に切り上げて、とにかくリハーサルで実践練習。注文をとる人、コーヒーをいれる人、ミルクを作る人… それぞれに地域スタッフのみなさんに入ってもらい、リハをしてみて実際にできると歓喜の声があがる。お店をオープンして暫くは随所で炎上していたが、それもご愛嬌。しかし、30分、1時間と経つにつれて地域スタッフのみなさんは瞬く間に要領をつかみ、お互いに世間話もしながらの余裕ぶり。スタッフ内でも笑顔が溢れ、コーヒーを飲みに来た地域の方々も店舗の回りで話が弾んでいた。現場でプロジェクトを検証していた自分は「これだ!」と確信した。



米崎小学校&中学校と2箇所の仮設住宅敷地内で開催したミニチュア型「道のカフェ」を終えて地域スタッフのみなさんと話していると、様々な率直な声を伝えてくれた。「支援を受けるだけでは気がひける時期にさしかかっているから、こんなふうに自分たちも一緒に参加して作るのはすごくイイ」「仮設住宅にはいろんな人が混ざって住んでいるので、話をするのにいいきっかけになる」「家の中に籠ってしまっている人もいるから、こういう機会があると声かけで回りやすい」などなど。何とも言えない温かい気もちが内側から沸き起こる。現在、被災地の各自治体では政治・行政による復興計画の具体化フェーズに入っているが、地域のみなさんの生活現場を知るにつけ、とても政治・行政の動きを待っていられない状況がよく分かる。だからこそ、個人的には地域コミュニティが牽引するまちづくりの可能性を引き出すご支援をしたい。「道のカフェ」には、新たな地域づくりに至る道があるのかもしれない。

2011-12-12

JFN: 赤坂憲雄さんとの対談


今月下旬に2週にわたって放送される全国ネットFMラジオ番組 JFN “ON THE WAY ジャーナル WEEKEND” の対談パーソナリティを務めさせて頂き、半蔵門のスタジオで収録を完了した。今回のゲストは、東北学を提唱して数々の書籍を執筆されたきた民俗学者で、復興構想会議メンバーとして活躍される学習院大学教授の赤坂憲雄さん。福島をはじめ東北各地の現場を歩きながら赤坂さんが見てこられた被災地の姿を率直に伺いつつ、東北が歩んでいく道筋について多角的な視点による深堀を試みた。当然、直ちに何か結論めいたものが出るような議論ではない。しかし、対話を深めることで見えてくるものもある。赤坂さんの言葉には被災地の現場の重みが確かに息づいており、とりわけ「少子高齢化とともに過疎化する社会構造の中で被った原発事故からの再出発」という未曾有の課題を抱えた福島の話には、改めて我々の考えるべきことの大きさを感じざるを得なかった。

今日の対談の中で印象的だったトピックの一つは、復興における草の根の力の重要性である。勿論、政治や行政が復興のために既存の枠組みの中で尽力しているのは分かる。一方、日々の事態は地域の現場で起きている。国の動きを待ってはいられない。ゆえに、地域に住む一人一人が立ち上がって動かざるを得ない。当然、その地に住んでいなければ分からない過酷な境遇に違いない。しかし、地域住民が主体的に行動を起こしていくことに勝る力はない。それが、地域や国の政策をも変えていく。その草の根の力こそ、今後の地域を創るキーになるのではないか。近代の社会モデルが音を立てて崩れる中で、改めて自然に内包される人間の持続可能な社会モデルを考えるとき、自然とともに生きるという基本精神のもとで「自分たちの地域は自分たちで創る」という社会像が自ずと浮き彫りになっているように感じた。

2011-12-11

Act On TV: Nissan "ELGRAND Rider HPS"


先月の帰国直後にTV番組ナレーションを務めさせて頂いたAct On TV新車情報:大人のカスタムカー」が遂に放送開始(@CS, CATV, BB)。AUTECH社が手がける高性能ファクトリーカスタムカーの日産ELGRAND Rider HIGH PERFORMANCE SPEC』と『SERENA Rider PERFORMANCE SPEC』の2台をフィーチャーした30分番組で、ピストン西沢さんの試乗インプレッションを紡ぐ形で番組ナレーションを担当した。演出は、抜群の映像&音楽センスをもつ今村則之監督。昨年「Volkswagen Rシリーズ」の番組ナレーションでお声かけを頂き、クールでスタイリッシュな演出に圧巻(当番組は2010年度Act On TV受賞作品となる)。1年ぶりに再び演出頂く機会を頂き、昨年にも増してエキサイティングな収録へ。ナレーションもHIGH PERFORMANCE SPECを目指して更なる走りに挑戦したい。[番組を見る]

2011-12-10

復興交付金の活用モデル検討@東京大学


東京大学の実務家チーム(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻)では、先月11月より、復興まちづくり支援として「国の復興交付金の活用モデル」を検討してきた。対象自治体は、宮城県気仙沼市と岩手県釜石市。市の復興計画を推進するために国の復興交付金を効果的に活用する事業モデルを検討した上、実行手段として運営組織や条例制定までを想定した設計を行うプロジェクト。今日は本郷にて、4つの班に分かれて検討してきた内容を報告する内部プレゼンの機会をもった。自身は気仙沼の検討を担当しており、5人のプロジェクトチームで詰めてきた提案内容を全体に報告した。

国の東日本大震災復興交付金は基幹事業と効果促進事業から構成され、前者が5省40事業としてハード事業にフォーカスしているのに対して、後者は資金の使途自由度の高さを担保しながらハード・ソフト両事業を幅広く対象としている。一方、自治体で策定された復興計画には、100を超える復興メニューが並んでいる。復興交付金は、それら復興メニューの財源として接続する“はず”の補助金。ところが、現実的には接続の担い手が手薄くなり、効果的な補助金の活用に至り難い。そこで、我々の提案の骨子は、まさにその接続を円滑化するモデルの構築。少しでもお役に立てるなら幸いである。

2011-12-04

JAL presents "my Japan Conference"


日本科学未来館にて「JAL presents "my Japan Conference 2011"」が開催され、200名強の来場者が集うエキサイティングなカンファレンスの場でMCを務めさせて頂いた。このカンファレンスは現役学生のプラットフォーム my Japan によって企画・運営されており、この度、JALの協賛と外務省/経済産業省/観光庁の後援を得て実現された。日本だからこそ作れる未来を考えることをコンセプトに、今回は ”Visit Japan ~外国人が来たくなる日本にするためには?~” をテーマとして構成。my Japan 代表を務める上智大学の岡本俊太郎君をはじめ、青山学院大学の倉嶋歩君や渡部晋也君たちとは昨年秋にTEDxYouthを一緒に作り上げた背景があり、以来、自分にできる形で my Japan を応援したいと思っていた際に、岡本君からのお誘いで今回のカンファレンスMC(キュレーション)に参画させて頂いた次第である。

カンファレンスには総勢12名の豪華ゲストが参集。観光庁長官の溝畑宏氏のプレゼンテーションに始まり、次々と多彩な登壇者によるトークが展開された。コミュニケーション、仕組み、コンテンツという3つの切り口からセッションが構成され、Visit Japan を軸に日本だからこそ作れる未来について様々なアイデアが飛び交った。自身はキュレーションという立ち位置で登壇者プレゼンを咀嚼しながらセッションを紡ぎ出す進行をさせて頂いたわけだが、溝畑長官がカンファレンス冒頭で力説されたメッセージが各登壇者の文脈を見事に繋ぐ軸になっていたように思う。日本のポテンシャルを引き出して世界に訴求するには、地域に根ざして自らアクションを起こすことがマスターキー。思考力 x 実行力。my Japan Conference は、そのツインドライブに点火するプラットフォームとなるポテンシャルを秘めている。