歩くブリュッセル調査隊


ブリュッセルの朝を迎えて街歩きを始めると、"Bonjour" "Goeiemorgen" "Morning" と3ヶ国語で話しかけてくれる。フランス語、オランダ語、ドイツ語、英語と、多言語文化圏のベルギーでは、いろいろな言語が飛び交っていて耳に心地よい。朝のスタートはグラン・プラスの一角にあるブラスリー&カフェ「ル・ロワ・デスパーニュ」。久しぶりにフランス語でオーダーしてみる。"Un cafe, s'il vous plait." "D'accord." 目前に広がる大広場の中で朝日を浴びながら飲むコーヒーは格別。きっとこのオープンスペースの空間そのものがコーヒーの味を引き立てるのだろう。朝のグラン・プラスに次々と人がやってきて会話が始まる。今日もここから何かが生まれる予感…。オープンスペースに強い魅力を覚える所以はそこにある。

街歩きの前にブリュッセルの図面を広げてみると、この街の中心部の形は騎士の紋章となっていることが分かる。すなわち、14世紀に築かれた城壁跡となる環状道路が中世の騎士の紋章旗のように五角形をなしており、このインナーリングの内側に殆どの要所が配置されている。その五角形のど真ん中が大広場のグラン・プラス。広場を取り巻く道には歪曲や上り下りがあるのがまた楽しい。自らの足で街の構造を検証していくと、人の生活様式に合わせて都市の様々な要素が絶妙なバランスで配置されていることに気づく。ここには、日本が高度経済成長期に捨て去った「街の調和」がある。日本で多々見られる無機質で残念な都市をリノベーションする妙案は何か。そんな思索を巡らせながら、ベルギービールにノックアウト…